
基礎代謝とは、人間の体で起こる3つの代謝のうちの1つです。他の2つには「活動代謝」と「食事誘発性熱産生」があります。「活動代謝」は体を動かすことで消費されるエネルギー、「食事誘発性熱産生」は食事を摂取した際に消化・吸収の過程で生じるエネルギーです。
この3つの代謝のうち、最もエネルギー消費が大きいのが基礎代謝であり、総エネルギー消費量の約60%を占めています。これは、就寝中や座っているときなど、安静時でも体が消費するエネルギーのことを指し、心臓の鼓動や呼吸、体温維持など生命活動を支えるために使われます。
基礎代謝が「いい」「悪い」とは?
基礎代謝が「いい」とは、基礎代謝が高くカロリーを消費しやすい状態を指し、「悪い」とは、基礎代謝が低くカロリーを消費しにくい状態を意味します。
基礎代謝が高いと、
- 体温が高く血行が良くなる
- 老廃物が溜まりにくく、健康的な体を維持しやすい
- 太りにくく、痩せやすい
一方、基礎代謝が低いと、
- カロリーを消費しにくく太りやすい
- 体温が低く血流が悪くなる
- 老廃物が溜まりやすく、肌荒れや冷え性などの不調を招く
という特徴があります。
基礎代謝が下がる原因と影響
基礎代謝が下がる原因
基礎代謝が低下する主な原因には以下のようなものがあります。
- 筋肉量の低下:加齢や運動不足、過度な食事制限により筋肉が減ると、基礎代謝も低下します。
- 生活習慣の乱れ:暴飲暴食や運動不足、睡眠不足が続くと代謝が落ちます。
- ストレスの蓄積:ストレスにより自律神経が乱れると、エネルギー消費の効率が下がります。
- ホルモンバランスの変化:加齢や病気、女性の場合は月経周期の影響で基礎代謝が変動します。
基礎代謝が下がると起こる体の変化
基礎代謝が低下すると、
- 太りやすくなる:消費エネルギーが減るため、摂取カロリーが余り脂肪として蓄積されやすくなります。
- 冷え性・低体温:血流が悪くなり、手足の冷えや低体温を招きます。
- 疲れやすくなる:エネルギーが不足しやすく、疲労を感じやすくなります。
- 肌荒れ・便秘:代謝が悪くなることで老廃物が排出されにくくなり、肌トラブルや便秘を引き起こします。
基礎代謝量の目安の計算方法
基礎代謝量(kcal)は、以下の計算式で求めることができます。
基礎代謝量=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×体重(kg)
年齢別・性別の基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18~29 | 24.0 | 21.7 |
30~49 | 22.3 | 20.7 |
50~69 | 21.5 | 20.7 |
70以上 | 21.5 | 20.7 |
例えば、30歳で体重60kgの女性の場合: 基礎代謝量 = 20.7 × 60 = 1,242kcal
1日に必要なエネルギー量の計算
1日に必要な推定エネルギー必要量は、基礎代謝量に「身体活動レベル」を掛けることで求められます。
身体活動レベルの区分
活動レベル | 生活の特徴 |
低(Ⅰ) | ほとんど運動をしない |
中(Ⅱ) | 通勤や家事など日常的に適度な運動をしている |
高(Ⅲ) | 仕事や運動習慣があり、活発に活動している |
例えば、30歳で体重60kgの女性で、**活動レベルⅡ(中)**の場合: 1日に必要なエネルギー量 = 1,242kcal × 1.75 = 2,173kcal
基礎代謝を上げる方法
1. 筋肉を増やす
基礎代謝を上げるには筋肉量を増やすことが重要です。特に下半身の筋肉は体全体の代謝に大きく関わります。
- スクワットや腕立て伏せなどの筋トレ
- ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動
- ストレッチで血流を良くする
2. 食生活の改善
- たんぱく質をしっかり摂る:筋肉を維持・増加させるため、肉・魚・豆類をバランスよく摂取
- 朝食をしっかり食べる:1日の代謝を活性化させるために重要
- 代謝を促す食品を取り入れる:生姜や唐辛子、緑茶などが効果的
3. 生活習慣を整える
- 睡眠をしっかりとる:睡眠不足は代謝を低下させる
- 湯船につかる:体を温めて血行を良くすることで代謝アップ
- 水分をしっかり摂る:水を飲むことで血流が良くなり、代謝が向上
まとめ

基礎代謝は生命維持に必要なエネルギー消費のことで、年齢とともに低下する傾向があります。しかし、適度な運動や食生活の改善を行うことで、基礎代謝を上げることが可能です。日々の習慣を見直し、健康的な体を維持しましょう!